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パドルシフトの後付けは可能?効果的に使うポイントは?

パドルシフトはステアリングを握ったままギアを操作できる装置。
最近は高性能スポーツカーだけでなくファッショナブルな車にも装着されています。
自分の車にもパドルシフトを後付けしたい!という人もいるでしょう。
パドルシフトを後付けする際の注意点や方法、効果的に使うポイントを解説します。

レースカーをより速く走らせるための装置

パドルの本来の意味はカヌーで使うための櫂(かい)のこと。
両側または片側先端についているブレードで水をかき、カヌーを前に進ませる道具です。
ちなみに手漕ぎボートなどのように船縁に支点がある道具はオールと呼びます。

パドルシフトの形状の特徴はチェンジレバーがブレードに似ていること。
そこから命名されたと思われますが、発端は不明。
バタフライスイッチなどとも呼ばれていた時期があります。

最初に、ステアリングの裏側にチェンジレバーを装着したのはレースカー。
フェラーリが1989年、F-1マシンに搭載したのが始まりです。
コードナンバー640のマシンは当時、革新的だったセミオートマチックギアを搭載。
これは高出力エンジン用の多段速トランスミッションで、電子制御による変速が特徴です。

また操作方法はスタート時だけクラッチを足で踏む方式で、走行中はレバー操作だけ。
でも、従来のシフトレバーでは電子制御による速いギアチェンジの特徴を活かせません。
そこで開発されたのがステアリングを握ったまま操作できるシフトチェンジレバーです。
パドルシフトは速く走るため、ステアリング操作に集中できるための装置なのです。

マニュアルモードがあれば装着可能

ステアリングから手を離さずギアチェンジできることは安全運転にもつながります。
パドルシフトは当初、スーパーカーや高性能スポーツカーのみ搭載されていました。
しかし現在はミニバンなどファミリーカーにも搭載されていますね。
たとえファミリーカーであっても、パドルシフトを操作するとレーシーな気分を味わえます。

未装着だけれど、パドルシフトを取り付けてその気分を味わいたい!
そんな人も多くいるハズ。
パドルシフトは単なるシフトチェンジレバーなので後付けは可能です。

条件はパドルシフトに適合しているトランスミッションであること。
ほぼ不可能なのがマニュアルシフト(MT)です。
MTはシフトレバーで機械的にギアをチェンジするトランスミッション。
パドルシフトは電気信号でギアチェンジを行うため、MTには後付けできません。

後付けに向いているのはオートマチック(AT)やCVT。
ただし、ATやCVTであってもマニュアルモードがある車種に限られます。

マニュアルモードはATやCVTで任意のギア比を選べる機能。
フロアのシフトレバーではシーケンシャル(前後運動)で操作します。
パドルシフトはこれをステアリング裏側にチェンジレバーとして装着しただけです。
したがって後付けに適合している車種であれば、比較的カンタンに装着できます。

ワインディングロードではパドルシフトが効果的

パドルシフトの操作方法は一般的に+(プラス)と表示されている方がシフトアップ。
-(マイナス)はシフトダウンですね。
この他、どちらのパドルでも手前に引くとアップ、奥に押すとダウンのタイプもあります。

フロアシフトのチェンジレバーと異なるのはステアリングを握ったまま操作できること。
中指や人差し指、親指だけでシフトチェンジが可能になります。
ワインディングロードでパドルシフトを上手に使えば軽快な走りが楽しめるでしょう。

とはいっても、トランスミッションの性能まで変わるわけではありません。
とくにATの場合はシフトチェンジにタイムラグが生じます。
ダイレクトなシフトチェンジの感覚を期待するのは無理というもの。

またマニュアルモードでパドルシフト操作を楽しんでいると燃費は確実に悪くなります。
現在のATやCVTは電子制御で燃費効率が良くなるギア比を選び出しています。
任意のギア比で回転を上げ続けていれば燃料の消費率は高まるばかり。
パドルシフトを楽しむ時は燃料メーターに注意してくださいね。

もちろん、効果的な使い方もあります。
たとえば上り坂。
軽自動車など排気量の小さい車ではパワー不足を感じることがあるでしょう。
そんな時は任意にギアを下げることでパワーアップが図れます。

下り坂でも効果的です。
Dシフトのままではどうしてもフットブレーキに頼りがち。
パドルシフトでギアダウンさせればエンジンブレーキが働きます。
曲がりくねった坂道などではステアリング操作に集中できるので、かなり有効です。

パドルシフトの後付はプロに任せた方が安心

汎用タイプの後付けパドルシフト、一般的な価格は15,000〜40,000円程度。
アルミ合金製やカーボン製などがあり、定番のシルバーや派手なレッドなど各色あります。
車内の色とコーディネートすれば見た目もオシャレですね。

後付けパドルシフトには配線キットも含まれています。
DIYでも可能ですが、車いじりが苦手な人にはかなり困難な作業。
最近のステアリングにはオーディオなどのボタンが多くついています。
これらの配線を外すだけでも厄介なのに、エアバッグの配線も外さなければなりません。

後付けに不安を感じる人はカーショップでの購入をおすすめします。
そうすればカーショップのスタッフに任せることができますね。
ネットでも購入できますが、取りつける自信がない人は修理工場などプロに依頼しましょう。

一般的な工賃は20,000〜30,000円程度。
ちなみにほとんどのディーラーはパドルシフトに限らず社外品の取り付けを行いません。
後付けの相談をしてもパドルシフト装着車を勧められるだけです。

パドルシフトは走行の安全性に関わる装置。
後付けするなら、プロによる確実な装着が安心感につながります。