車のボディコーティングですっかりお馴染みとなったポリマーという言葉。
これ、コーティングだけでなくいろいろな分野で使われています。
カンタンに言うと合成樹脂。
車のコーティングに使う際の特徴とメリット、デメリットを紹介します。
さまざまな分野で活用されているポリマー
ポリマーとは単体の小さい分子が結合して作られる化合物のこと。
小さい分子の集まりなので高分子と呼ばれる場合もあります。
ポリは多数という意味。
ちょっと難しいですね。
分かりやすく例を上げてみましょう。
以前はスーパーやコンビニが無料で配布していたビニール袋。
これはポリエチレン製です。
エチレンという小さな分子が重合したもっとも単純な高分子。
ペットボトルはポリエステルの一種で、吸水おむつはポリアクリル酸ナトリウム。
ポリマーはさまざまな分野で形をいろいろ変え、活用されています。焦げつかないフライパンに使われているフッ素樹脂もポリマーです。
アメリカの化学工業メーカーが最初に開発、テフロン加工という名前で有名になりました。
フッ素樹脂の正式名称はポリテトラフルオロエチレン。
フライパンの素材はアルミ合金。
結合する分子によって、金属に吸着して硬い被膜を作るポリマーが誕生しました。
これが、ボディを保護するコーティング剤の開発につながったのです。
最大のメリットは手間がかからないこと
ボディを保護するコーティング剤は長くワックスが主流でした。
深いツヤを実現するワックスには、今でも根強いファンがいます。
ワックス最大の欠点は手間。
良質であるほど塗り込みと拭き取りに時間がかかってしまいます。
また持続性が短いのもウィークポイント。
一般的なワックスで3ヶ月程度、品質の劣るタイプは1ヶ月ほどで効果が薄れます。
これらワックスの欠点を補う特徴を持って登場したのがポリマーコーティング剤です。
当初はプロ施工のみでしたが、DIYで手軽にできることが人気に拍車をかけました。
現在、DIY用に市販されているポリマーコーティング剤はカンタンがひとつのメリット。
ほとんどの市販品が溶剤を吹き付け、それを拭き取るだけで完了します。
良質な市販品は持続性が約半年とワックスより長いことも特徴。
塗り込みや拭き取りの力仕事が苦手な人に取っては便利なアイテムですね。
とはいえ、万能のコーティング剤というわけではなく、欠点もあります。
輝きを出すためには徹底した下地処理が必要
ボディを本格的に磨くためには下地処理が欠かせません。
これはワックスもポリマーコーティング剤も同じ。
ボディの隅々まで洗車した後、表面の脱脂作業が必要です。
この作業を行わずにコーティングしてもボディ本来の輝きを出すことはできません。
つまりDIYのポリマーコーティング剤も意外と手間がかかるのです。
現在、市販されているポリマーコーティング剤の主な成分はフッ素やシリコン。
これらの小さな分子が結合して高分子を作り出しています。
金属に対する吸着性は良いのですが、被膜としての硬さはありません。
この点もワックスと同じですね。
紫外線の悪影響を防ぐことはあってもわずかな接触で小キズがついてしまいます。
ワックスより手間の面では優位性があるものの、デメリットが多いのも事実。
このデメリットを解消すべく登場したのがガラスコーティングです。
ちなみにポリマーコーティング剤にもガラス系と称する製品があります。
これはガラスの原料となる小分子のケイ素やガラス繊維を含有させたタイプ。
プロ施工のガラスコーティングとは別物で、あくまでポリマーコーティング剤の一種です。
高硬度だからメリットが多いガラスコーティング
ガラスコーティングの施工は今のところ、DIYで作業するのはかなり困難。
というのも、使用するのは二酸化ケイ素という無機溶剤。
ガラスと同じ原料であることから、ガラスコーティングと呼ばれるわけですね。
これ、空気に触れるとすぐに固まってしまいます。
経験の乏しい人がDIYで作業すると大抵はムラができ、無残なボディとなってしまいます。
プロに施工を依頼するというのはワックスやポリマーコーティング剤に比べるとデメリット。
しかし、それを補って余りあるメリットを享受できます。
たとえば硬さ。
ガラスコーティングは鉛筆の芯の硬さを基準としていますが、最高は9H。
一般的な国産車の塗装が2〜3Hであることを考えると、はるかに硬いことが分かるでしょう。
この硬さが紫外線の悪影響だけでなく、小キズからも守ってくれるわけですね。
また表面が硬いとそれだけ汚れがつきにくく、また汚れも落としやすくなります。
ガラスコーティングしたボディは定期的な水洗いだけで、ツヤツヤの輝きを取り戻せます。
次に下地処理。
DIYのワックスやポリマーコーティング剤は自分で下地処理をしなければなりません。
しかし、プロ施工であれば徹底的な下地処理を行ってくれます。
専用の機材や洗剤を使用するので、その仕上がりはDIYと段違い。
ちなみに新車のうちに施工すると下地処理を省けるので、その分、価格が安くなります。
それから持続性。
プロ施工のガラスコーティングは約3年です。
その間のボディメンテナンスはポリマーコーティングよりずっとラク。
ボディの輝きとツヤを長く保ちたいなら、プロ施工のガラスコーティングがおすすめです。
なお、ポリマーコーティングを施工している専門業者もいます。
ガラスコーティングほどの機能は得られませんが、下地処理は徹底して行ってくれます。
ポリマーコーティングを施すにしても、プロに任せた方が安心ですね。